セルロース生地とは?

1.セルロース生地とは?
1.1 「セルロース生地ってよく聞くけど、何なのだろうか?」
セルロース生地とは、再生繊維の一つで、植物細胞の主成分であるセルロースを原料とした生地です。
1.2「セルロース生地って、どうやって作るの?」
一般的には、木材パルプなどから採取した植物由来のセルロースを、薬液で溶解させ、別の薬液中に糸状に細く押しだして紡糸します。
そもそも、セルロースとは、β-グルコースとよばれるもの(砂糖の仲間です。)が何個も連なったものです。
セルロースを溶解させる薬液、それを押し出す先の薬液も様々で、それぞれ異なった特徴を持ちます。
1.3 「なぜ、再生繊維を作るのか?」
見た目と機能性を両立するためです。
先ほどのお話が分かると、こんな疑問が浮かんでくるのでしょうか?
「結局、セルロース素材の繊維を使うのであれば、何も手を加えず、植物から直接採取できたものを使えば良いのでは?」
たしかに、仰るとおりです。
しかし、シルクの光沢感と、度重なる洗濯やアイロンに耐えうる繊維強度を両立させたい場合、自然のものをそのまま使うわけにはいきません。
シルクは光沢がありますが、度重なる洗濯などには不向きで実用的ではありません。
綿などは、繊維強度はあるものの、シルクのような光沢はありません。
そこで、シルクのような光沢感と繊維強度を両立させるため、今日のような再生繊維が研究されてきました。
2. 「再生繊維には、どんな種類があるの?」
再生繊維には、様々な種類があります。以下では定番の3つを紹介させていただきます。
2.1 レーヨン
レーヨンには、主に銅アンモニアレーヨンとビスコースレーヨンに分けることが出来ます。
2.1.1 銅アンモニアレーヨン(ベンベルグ)とは?
銅アンモニアレーヨンは、硫酸銅水溶液に水酸化ナトリウムを加えて生じた水酸化銅(Ⅱ)にアンモニア水を加えて、沈殿を溶解させたものを使用します。
その溶液でセルロースを溶解し、酸性薬液中で細孔から押し出すと、セルロースが再生され、繊維となります。
これが、銅アンモニアレーヨンです。
銅アンモニアレーヨンの特徴は、以下の通りです。
・柔らかい肌触り
・吸湿性、通気性に優れる
・ビスコースレーヨンに比べて、繊維強度が高い
2.1.2 ビスコースレーヨンとは?
一般的にレーヨンと記載のあるものは、ビスコースレーヨンが主流です。
製法は、木材などのセルロースを、水酸化ナトリウムなどのアルカリ薬液と二硫化炭素に反応させて、アルカリ薬液中に溶解し、それを希硫酸中に細孔から押し出して凝固・紡糸させたものです。
前述の銅アンモニアレーヨンは、薬液に銅化合物およびアンモニアを使用していることから、処理が複雑になると言うことで、現在では、旭化成しか製造していません。
それに対して、ビスコースレーヨンは薬液の処理が容易なため、広く製造・販売されています。
ビスコースレーヨンも、銅アンモニアレーヨンと同じような特徴を持ちます。
2.1.3 レーヨンの短所とは?
1.吸湿すると極端に強度が小さくなる。
2.洗濯時には縮みやすい。
3.しわになりやすい。
レーヨンは、β-グルコース同士が連なって出来たものであるので、吸湿すると分子間に水分子が入り込みます。
そうすると、結合が所々で切れるようになるので、繊維強度が落ちやすくなります。
2.2 リヨセル
リヨセルは、先ほどのレーヨンとは異なる製法で生産されます。
N-メチルモルホリン N-オキシドに木材パルプを溶解し、N-メチルモルホリン N-オキシドの希薄溶液に押し出すことで生産されます。(溶解度の差で、セルロースを再生させるイメージでしょうか。)
レーヨンとは異なり、セルロースを溶かした溶液をそのまま再生させることで、セルロースの連なりをできるだけ減らさないように生産ができます。
それにより、繊維強度はレーヨンに比べて高め、となっています。
2.2.1 リヨセルの長所は?
・レーヨンに比べて繊維強度が高い
・吸湿性に優れる
・柔らかい肌触り
レーヨンに比べて、セルロースの連なる量(重合度ともいう)が大きくなるため、繊維強度が高くなります。
2.2.1 リヨセルの短所は?
・しわになりやすい。
・擦れに弱い
これらはレーヨンにも通づる短所ですが、一般的にはリヨセルに特別な処理をさらに行い、短所を克服しているようですね。
3. まとめ
今回は、再生繊維について特集しました。
一部複雑になってしまいましたが、あくまで一般的な内容を記載させていただきました。
現実に出回っている再生繊維は多岐にわたり、しかも様々な工夫が凝らされています。
つくづく、技術の進歩を感じる次第です。
弊社取り扱い製品にも、再生繊維はしばしば使用されていますので、商品選びの参考にしてください!